パワーストーンイメージ

パワーストーン使用前の個人的な儀式

個人的な感覚ですが、パワーストーンというものには2つの種類があると思っています。
誰にでも効果が期待できるものと、ある特定の人物に作用するモノの2種類です。
有名なところでは水晶やラピスラズリなど神秘的な輝きと力を持ったパワーストーンたち。
これらのストーンは万人に効果があると考えて良いのではないでしょうか。
それに対して、個人的に思い入れのあるストーンというのは、それが例え路傍の石であったとしても、その人個人に与える影響というのは、非常に強いものなのです。
10年以上も昔の話ですが、当時外国に住んでいた私は、路上で販売していたネックレスに目が止まりました。
鉱物に関する知識をまったく持ち合わせていなかったので、それがどういった種類の石なのかは解りません。
ですが、なにか引きつけられるものを感じた為、値段交渉で随分と粘った後に購入することにしました。
お金を支払って、その石を受け取ろうとしたところ、「ちょっと待て」といった感じで制止された私。
売り子であるお婆さんは、ビニール袋からお香を取り出して火を付け始めました。
いったい何が行われているのか。
ぼーっと見つめる私を無視して、お婆さんは作業を進めます。
お香から充分な量の煙が立ち上って来たところで、直接石に触らないように注意しながら煙を石にまとわりつけるように石を動かし始めました。
その作業自体は一分ほどで終了し、次にお婆さんが取り出したのは、年季の入ったハサミ。
そのハサミで石の周りの空間をチョキチョキと切り始めます。
お婆さんの眼差しは真剣そのもの。
その真剣さに私も知らず知らずのうちに引きこまれていきました。
私の手をグッと引き寄せると、手のひらに石を載せてくれました。
ニコッと笑ったお婆さんの歯は数本抜けていて、その愛くるしい笑顔は先程までの真剣な眼差しの彼女とはまるで別人。
私の拙い現地の言葉での質問に丁寧に答えてくれたお婆さん。
それによると、石に残った様々な念をお香の煙で浄化して、過去につながりのあった人との関係をハサミで断ち切っていたのだと説明してくれた。
石を掘った人、輸送した人、加工した人、そして販売したお婆さん。
その石を手にした人達から受けた影響を一度リセットしなければ、あなたに悪い影響を及ぼすかもしれないと言われました。
なんとも不思議な儀式でしたが、その石を受け取った時の気分はとても晴れやかなものでした。
それ以来、二年ほどその石を身につけていましたが、怪我もなく無事に日本へ帰国できたのは、その石のお陰だったと信じています。
石に関して気をつけていたのは、他人の手がその石に触れた時は、あのお婆さんのように儀式を行ったということです。
ネックレスとして身に着けていれば、友人に「ちょっと見せて」なんて言われることも多々ありますし、バスや電車での人混みで我知らず他人に触れることもあります。
そんな時に悪い念を吸収してしまったのではと不安になることなく、あの阿婆さんのように心静かに儀式を行う。
これで安心して身につけていられました。
最終的にその石は友人に譲ったのですが、目の前で儀式を行って渡したのは言うまでもありません。
こういったスタンスでパワーストーンと付き合っていくのも個人的には悪く無いと思っています。

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